昨日、衝動ポチして届いた室内灯未対応の20系客車に室内灯をつけることを最終目標として、最初の関門は線路から車輪を通して台車上までの通電機構でした。
オリジナルのKATOの室内灯追加対応車両では、最初から台車と車輪の間に厚さ0.4mmの集電板という電極が付けられています。
中心部から上向きに突起が出ており、これが床下の穴を通過して床下上側の銅板集電板に接触して車体まで通電する構造です。オプションの別売り室内灯には天井から床下までを追加する部品が含まれています。2つの穴は車輪の軸受けになっており、ここで線路からの電気を受け取ります。
ちなみにですが、現在でも普通に購入できるKATOの台車には最初からついています。
で、床下から車輪を通電させるこのT字型集電板ですが、かつては単独で20個一袋で売っていました。800円付近だったと思います。あくまで室内灯の追加対応車での紛失もしくは交換対応です。
未対応車でも車輪が金属であれば、オプションでこの台車集電板をつけることで線路から電気は拾えそうですが、台車、床下ともにこの突起電極通過用の穴がないので、まず台車に付けられません。実は車輪も対応していないのです。これらの2点について何らかの工夫が必要となります。
で、思いついたのが、まずは集電板ですが、KATOの台車用集電板の突起をなくしたものを作成して、これにリード線もしくはパイピングケーブルを接続して中心ピンの隙間からとりあえずは車内まで持ってこようという案のその後です。ネジ台車よりも中心ピン台車対応です。
あくまでも集電板のない、非前照灯および非動力車を対象に考えます。動力車や前照灯・尾灯点灯車の場合は集電板があるのでそこからとればよいかと思います。
特に動力車の場合、動力部分の負荷も請け負うことになるので、Φ0.5mm程度のリード線もしくはエナメル線が許容電流値に対応できるかはわかりません。ちょっと超える気がします。折を見て今度また測ってみますかね。
サンプル品を作成する段階で判明したのですが、こういった室内灯未対応の台車についてくる車輪は、車軸が1本の金属棒でできているため、片側の車輪とは絶縁しているのですが、現在主流の車軸先端で通電させる機構の集電板ではショートしてしまいます。これ要注意です。思い出してみるとこれ、ネジネジ方式の時(キハ20T602)にも出てきたやつです。未対応時代の車輪はほとんどがこれです。
一方の車輪だけ、裏側と表側に黒い絶縁体で車軸と絶縁されているのが問題の古い車輪です。両軸先端にテスタをあててみると通電するのですぐに分かります。
したがって、未対応車への室内灯の追加には集電板の他に車輪も調達する必要があります。最近の車輪は車軸先端で集電する形式になっているので、よっぽど古い車輪を買わない限り大抵の車輪で大丈夫です。
次、オプションで売っているKATOの車輪には「車軸短」と書いているものと、何も書いてないものがあります。台車によって車軸短でないと入らないものと車軸短でははまるけどじきにポロッと落ちてくるものがあります。
大抵は通常のものです。ご注意ください。
以下、台車に集電板のない非動力車が対象です。
リード線で持ってくれば床下集電板は全く不要ですが、リード線を不要に長くするのもいろいろと厄介なので、床下には(オモリと絶縁させて)左右に両面導電性の銅箔テープで前後車両間を通電させておくとリード線は最短で済みます。
では、まずはその台車用集電板の製作にとりかかるとします。
<設計図>
まずは設計図。これはKATOがいうところの「新幹線以外」の軸間距離14mmの車両用の設計です。新幹線用は、この2円の中心間の距離を(14mm→)16mmにして作成します。違いはそれだけです。
そこで、まずはお決まりの厚さ0.1mm、幅5cmの銅板からの切出しです。幅10cmものでもいいかもしれませんが、長くなると左右の同じ幅の維持が多少難しいかもしれません。このブログで通して出てくる書けないボールペンでコキコキ、ガラス板等でコキコキです。
<作成手順>
①T定規を用いて上から1.2mm(といっても少数一桁は目分量です)のところに書けないボールペン等で折り曲げ用の筋を引いておきます。次に上から3mmのところでT定規をあてて、キコキコ切断します。キコキコ切断については既出なので詳細省略。切出したら16.2mm毎に切断します。5cm幅だと3個とれて1mm強残ります。残りはポイ。ただし、踏んづけて怪我しないように注意。
②両端から2.2mm(これも少数一桁は目分量です、多少広めの方が無難です)のところで下から1.8mm分、先に入れておいた折込用の線まで、ハサミで切り込みを入れます。左右両方に入れます。多少広めの~2.5mm程度の方がむしろいいかもしれません。
切り込みを入れるとねじれるので、ガラス板等で平らにならしておきます。
③先に入れておいた(上から1.2mmの)折込ラインで中11.8mm分を折り返すようにしてボールペンでコキコキのあと、完全に折り曲げます。こんな感じです。裏側を見るためにひっくり返しました。
引き続き作成していきます。通常の台車2つの車両1両分で前後左右で4個必要です。昨日2個作ってみたので今日6個作ると2台分です。
折込線の位置でなかなかうまく折れず、斜めになったり、細くなったりして、今日9個チャレンジしたうち、3個失敗してしまいました。そのうち慣れてくるのでしょう。
と、もう慣れてきて、あっという間に9台分ができてしまいました。ヒマかー?
④この段階で横棒の中心部付近にΦ0.5mm以下のリード線かエナメル線を4~5cm程度切って、一端をはんだ付けしておくのがベストです。今回は経済的な理由からエナメル線を採用することにしました。
線の直径は0.4~0.5mmが台車の中心ピンの隙間を通れる限界のようです。Φ0.2mmでは細すぎて却って作業がやりにくくなります。とりあえずΦ0.4mmのエナメル線を5cm区切りで準備しました。結果的にはここは3cm程度で十分でした。集電板の数と同じだけ準備します。
しかし、完全に間違えました。ここはやはりリード線です。あとでわかったのですが、台車の回転がとてもぎこちなくなります。遊びをもたせて何とか切り抜けましたが、こんなにたくさんやるんじゃなかった。
これ、被覆剥ぎが結構面倒かもです。こういうのは機械に頼るに限る。
ダイソーで購入したミニルーターが700円です。ビットの種類も豊富でアマゾンではここまで安いのは見つかりませんでした。単4電池2本で動きます。電池寿命はわかりませんが、とにかく安いのでよしとします。スイッチがわからずオロオロしました。
被覆が剥げたらはんだ付けです。今は夜中なので、ヤスリがけは明日やるとします。で、今できるのは穴あけ場所と半田付け場所のマーキング。
⑤両端の車輪が当たる予定の広い場所に穴を開けていくのですが、上の設計図を頼りに目分量で該当の位置に穴をあけます。14mmを正確に測って両方に+印をつけておくとやりやすいです。横棒の中心も半田付けの目印です。
そして。
その明日が、やってきました。エナメル線の被覆剥ぎです。
ハンドルーターをこのようにセッティングしました。万力はやはりあると便利品です。
で、何も考えずにエナメル線を当てると当然プルプルします。当てる方向はこうするといいです。
ひたすら、集電板と同じ数36本繰り返します(予備はあってもいいかと)。
今回の一連の作業中、最も快感のひとときです。
で、次の問題は集電板への穴あけ方法にかなり熟考・試行錯誤しました。
ものは試しで思いついたのがオートポンチです。
昨日頼んで早速今日届いたオートポンチ。アマゾンすごいですね。
下にかまぼこ板なんか(衝撃で凹んでくれるもの)を敷いて、片手で対象を押さえつけて安定させてからバチコンッ!します。片手で操作できるのがありがたいです。
結構びっくりするぐらいの衝撃がありますので、0.1mm厚さの銅板が対象では最初はとてもうまくいく気はほとんどしませんでしたが、やってみるとこれが案外よかったのです。
かなり力と気合と速度が必要です。まったりやるとうまくいきません。スカしっぺみたいになります。スカしっぺでも必要な程度の穴が開けばそれでもオッケー。
下に敷くものですが、凹み可能なそこそこ硬いものが必要です。ここでは木の机の上でやってしまいましたが、失敗です。あとからプラスチック製の小型まな板を調達しました。いい感じです。
何度か使うと使用不可になりそうなので、買い替えが容易な安いものが理想的です。木製のカマボコ板なんかは多分、向きません。へっこみ過ぎて潰れてしまいそうです。
まずはちょっと、3個ほど試しにやってみました。これは木製の机の上です。通常はあとでめちゃ怒られます。
さて、出来栄えはというと、、、、、
何も考えずに折り返し面を下にしてポンチしてしまいましたが、どう考えても上にしてポンチするべきです。そうするとこれよりは遊びが無いため、綺麗に開くと思います。
使用した道具類はこれです。オートポンチといいます。下の写真一番上です。
一応凶器にもなりそうなので持ち運び、保管場所に注意。職質の際に所持していると結構面倒になるかもしれません。鎌を車に積んでいて逮捕された事例があるようですよ。
思ってたより遥かに希望通りに近い穴を開けてくれました。ちょっと感激。
穴が空いたら設計図のように角を面取り、してもしなくても、しといた方が見栄えは抜群にいいです。
穴の間隔を正確に台車軸受けの間隔に合わせることが重要です。が、印さえつけておけば目分量での差程度の範囲ならたいがい大丈夫です。ただ、取り付け後に車軸が斜めにならないように、左右は極力同じ間隔のものを揃えた方がいいです。
さて、試し打ちが終わり、希望の光が見えてきたところで、まとめてはんだ付けです。
36本半田付け終了、これ一気にやらないと途中で萎えてしまいます。
後でわかったのですが、ここはエナメル線ではなく、リード線にするべきです。
試しに1車両分、台車に設置してみます。
これが思ってた以上に厄介で、作業的には
①台車側か集電板側かどちらかに幅1mm✕長さ5mm程度の両面テープを貼っておいて、
②線を台車の中心ピンの隙間から反対側へ通してから、
③集電板の半田付け側を内側に、穴側を内側に(山側を外側に)して、台車の窪みに集電板の山をはめ込んでどちらかに貼っておいた両面テープで固定します。ここ重要です。
この①の作業の段階で難儀を極めますが、予めどちらかに両面テープを貼っておかないと以後の作業が不可能に近いです。やってみるとわかります。
接続しているリード線がネックになってすぐ中心側に引っ張らさることと、銅板の薄さが災いして非常に曲がりやすいことが最大の要因です。車軸長の車輪で何度も引っ掛けて曲げてしまいました。
で、なんとか、1時間以上かかって、やっとこできたのがこれ。たった2個。
なんとか1車両分2台車分作るのに、4個無駄にしてしまいました。うっかり半田側でなく反対側に穴を開けたり、黒いので大変見づらく、銅板が折れ曲がりやすく、車軸で引っ掛けて折り曲げるとか、とにかくやりにくくて最も大変な作業です。両面テープ必須です。最初から「車軸短」を使っていれば恐らく数分の作業です。
作業中に集電板の穴付近から切れるかと思いましたが、そこは思ったより壊れにくく、線の方が先に切れます。エナメル線よりはリード線の方が強い感じです。またはんだし直せば使えるのですが、気分を害してゴミ箱直行。
でも何とか、線路に乗っけてテスターで導通確認して無事成功です。
元からあった車輪は組み上がって導通の段階で短絡が判明したので、再度バラした時点で集電板を破損してしまいました。銅板が薄いので非常に破損しやすいです。かと言って厚さ0.2mmではこのサイズの加工はほとんど素人の手作業では不可能です。実験済み。これ、ほとんど使い捨て気分で組み込まないとだめかも知れません。
一番最初に車輪(車軸)の先端同士の導通を確認しましょう。導通していたら決してその車輪は使ってはいけません。何度も出てきますが、安全性に関わる重大事項です。代替品を入手しましょう。最近のNゲージ用であればまずほとんどのものは大丈夫です。黒いのと銀色のものがあります。スポーク車輪は蒸気機関車に似合います。動輪じゃないやつ。
早速解体されたままのカニ21にこの台車を組み込んでみます。これは次の記事「20系客車カニ21」で。
しかし、これを9台分となると代替車輪が手持ちでは全然足りません。調達せねば。
8個入りの車輪でもたった2台分です。10台だと最低でも5袋必要ということです。
と、今回はココまでです。もうできた気分です。ウキウキ。
後日譚ですが、結局エナメル線はボツで、全く使いませんでした。
最初からタミヤのΦ0.5mmのパイピングケーブルがおすすめです。
・改良集電板の最終形
長い長いエナメル線の説明を経て、改良集電板の最終形はこうなりました。
目からウロコ工具のご紹介第二弾。
・オートポンチ
ドリルなどの穴あけに先立って最初の位置がブレないように軽く穴を開けるのが本来の目的です。気合はいりますが、片手で操作できるので、もう片方の手で対象物を抑えておくことが可能です。ハンマーとポンチよりブレず、作業性が抜群にいいです。
ちょっと手が出ないオリジナルの集電板2種(あくまで参考用のご紹介です)
室内灯追加対応車における、集電板の紛失や交換対応です。基本的に台車と床下に穴がない未対応車にはつけられません。
・オリジナルの台車用集電板(通常のT車用、車軸間隔が14mm)
これには中央の突起部の高さが長い別バージョンもあるようです。
・オリジナルの台車用集電板(新幹線用、車軸間隔16mm)
車軸間隔が16mm、上のものより穴の間隔が2mm広いものです。
これも突起部の長さが長い別バージョンがあります。
使いやすいですが、スイッチがちょっと、押しボタン式が使いやすいと思います。
これ、底板の内側だけをひねるんですよ。やりにくいことこの上ない。それ以外は最高!ビット3本つきは100円高くなりますが、ダイヤモンドビット1本あれば万能です。もったいないですが。現在は600円のものは品切れのようです。