本日は、新しいテスター2種のご紹介です。だんだん格安テスターオタクになりつつあります。ひたすら使い勝手と精度の天秤に揺れながら、彷徨っている感じです。大前提が値段という。
今日のご紹介は2点、
左がつい最近買ったメーカー不詳、「ET8134」(1681円)、
右はそこそこ前に買ったメーカー不詳「BTMETER BT-39C](1899円)。
どちらも温度まで測れます。
右のやつ。
左のやつ。
あれ、売り切れですか、「ET8134」で検索すると、最安値でギリ3000円以下のものもあります。
まずは、BTー39Cの内容物です。
ぐちゃぐちゃですが、説明書も割としっかりしているように思えます。背面取り付け用の強力磁石がついています。全く不要です。電池付属です。
温度センサープローブもついています。
結論から言うと、今のところ、これが一番信頼性の高いテスターです。
電圧、電流、抵抗、ダイオード、コンデンサなどが測れます。右側の赤い端子のままで、なんと、750mAまで電流が測れます。それを超えそうな場合には左側の端子に繋ぎ変えます。10Aまでです。電流に力点を置いた一品です。
抵抗も電圧もかなり正確です。温度も整数ですが、測定してくれます。
これ、バックライトが面白い。上のガラス窓部を遮蔽するとバックライトが光ります。
便利なようで不要な機能にも思えます。チラチラして気が散ることがあります。電流は少数以下2桁まで表示してくれます。単位まで表示してくれるのは結構重要なポイントです。読み取りや記載したりするときにまず間違えません。
抵抗とダイオードと通電ブザーとコンデンサが一つの選択肢に入って自動選択になっていますが、「SELECT」で、対象を絞り込むことも可能です。
通電ブザーは50Ω以下です。オートでもLEDなんかは電圧値を表示してくれますが、抵抗値が低いのでピーピーなります。このような場合に「SELECT」で「ダイオードモード」を選択すると静かに測定に集中できます。
値の小さい抵抗でもピーピー鳴りながらも抵抗値を表示してくれます。このような場合も同様に、「抵抗モード」にして測定すると静かです。「SELECT」ボタンのある自動測定モード切り替え機はだいたいこのような働きをします。
現時点での格安の中ではダントツオススメの一点かと思います。
ところが、その後、突如彗星の如く現れたのがこれ。見た感じほんまもんの全自動です。実際モードもレンジも全自動です。電池は別途準備、単四2本。
本体と一体化したようなカバーが付いていたので、最初に電池をセットする時に大変悩みましたが、カバーを外すとすぐに分かります。電池は単4乾電池2本ですが別売りです。事前に調達の必要があります。
似たような感じのもので、USB充電方式も出回っていますが、自分はやはり電池式の方が安心です。電池の寿命はほぼ無限に等しく、末永く使えそうな気がします。
で、これ、以前ご紹介したHANMATEK DM20でもありましたが、端子が3つあって、真ん中がマイナス極、左は電流専門、右はその他全部、というふうに分かれていて、わかりやすいです。モード切替不要で、赤棒を左に刺した時点で「これから電流を測るぞ」の意思表示です。
電源ボタンはどこかと思ったら、頭の上でした。
全自動とはいえ、モード切替もちゃんと右側面スイッチで可能です。
これが、なんと、めっちゃ使いやすく、値もかなり正確です。
ほとんどの測定で、オレンジのBT-39Cとほぼ同じ値で誤差がほとんどありません。
唯一の弱点が電流と温度だけは整数です。
ほとんど誤差がありません。
温度測定は熱電対プローブに差し替えてこんな感じです。
電圧は、
PWFコントローラーで旧式前照灯ランプを点灯させたときの線路両端の電圧です。まあ、ほぼ供給電圧です。12Vだと小数点以下2桁まで表示します。
これで33Ωの抵抗値を測ってみます。
一応、少数以下1桁で測ってくれてるようです。
逆にしてオレンジので測ってみると、
ま、まあ、よしとしますか。充分です。
で、なぜか思い立って、赤棒と黒棒をいきなりコンセントに突っ込むイケない子ちゃんしてみると(ちゃんと違う穴にです)、
ほ、ほう。なぜ赤い必要があるのでしょうか。
せっかくなので、追加抵抗33Ωで高密度テープLED(101Ω)5区画分で測ってみます。左の黒いので追加抵抗端の電圧、右のオレンジで回路電流を測ってみました。
電圧少数以下3桁とは驚き。電圧に力を入れている機種と言えそうです。
同じことを測定器を逆にして測るとこうなります。
ふーん。あ、こちらも電圧少数以下3桁でした。電流値がちょっと大きい。
こんどは以前にご紹介したHANMATEK DM28を引っ張り出してきて電流を測り直します。
ほうほう。どっちが正しいかは知るよしもありませんが、電流測定に関しては、HANMATEK DM28と今回のET8134はかなり傾向が似ていると言えそうです。
しかし、実測の電流値としては、LTspiceの解析結果に一番近いのがオレンジのBT-39Cでした。
高密度テープLED12.5cm | ||||
テープLEDの抵抗値と追加抵抗による回路の電流値 | ||||
実測回路電流I (mA) |
2538Model 回路を流れる電流(mA) |
|||
追加抵抗(Ω) | 101Ω | 68Ω | 101Ω | 151Ω |
0 | 116 | 161.72 | 117.27 | 84.22 |
10 | 84.2 | 103.21 | 84.21 | 66.38 |
22 | 61 | 73.46 | 63.74 | 53.33 |
33 | 55.68 | 58.66 | 52.49 | 45.39 |
47 | 47.03 | 43.10 | 38.32 | |
56 | 38.15 | 41.84 | 38.74 | 34.89 |
100 | 30.63 | 27.57 | 26.27 | 24.53 |
150 | 20.28 | 20.15 | 19.48 | 18.54 |
200 | 16.80 | 16.00 | 15.59 | 15.00 |
270 | 13.13 | 12.51 | 12.26 | 11.91 |
470 | 8.03 | 7.84 | 7.75 | 7.62 |
510 | 7.80 | 7.32 | 7.24 | 7.12 |
558 | 6.98 | 6.77 | 6.70 | 6.60 |
680 | 5.99 | 5.71 | 5.66 | 5.59 |
電流値に関してはやっぱりオレンジのBT-39Cの圧勝です。グラフものっけます。
テスターにも内部抵抗があって、繋ぎ変えたりすると、結構数値が変わります。
今度はオレンジBT-39CとET8134を直列に繋いで、高密度テープLED(101Ω)に(追加抵抗なし)12Vかけた時の回路電流です。
なかなかよい一致を示しています。
2つも直列にすると、流石にテスター内部抵抗が効いてきて、元々の117mAが107mAまで下がっています。
テスターの内部抵抗も結構な影響力があります。無視できない程度にはあります。
次はブリッジダイオードをテープLEDに繋いだことによる電流値への影響をみてみます。
鉄道模型の室内灯としてテープLEDに必ず必要なのがブリッジダイオードです。これなしでは片側の走行時にしか点灯しません。前進・後退の両方で点灯させるために必要なパーツです。
まずは、ブリッジダイオードを接続する前の電流値です。
今度は通常密度(151Ω)10cm(2区画分)を使用しました。
通常密度2区画分で、テープLEDだけだと36mAです。
次は、ブリッジダイオードDB107を接続した後の回路の電流です。
ブリッジダイオードDB107の追加後では、22mAと結構電流値が下がります。半分までは行きませんが、かなりそれに近い減少率です。(高密度ではその影響力はもう少し下がりますが。これも近々に測ってみるとしますか。)
実際にはこのようにブリッジダイオードを接続した状態が室内灯としての回路電流です。
ブリッジダイオードの内部抵抗、結構馬鹿になりません。
室内灯の電流計算をする場合にはブリッジダイオードも含めて検討するとしましょう。
今回の格安テスター2種、結構使えます。
結論
・電流メインであれば、優位なのはオレンジのBT-39Cの方ですが、
・全自動としての使い勝手やその他の測定における誤差等、ET8134は抜群です。
あまり関係ありませんが、このET8134のNCV;非接触電圧検知機能、家庭用コンセントには全く反応しません。90V以上と書いてありますが、101.5Vでも全く反応しません。
NCV機能のある機種で家庭用コンセントに反応しなかったのはこいつだけです。海外用ですかね。まあ、全くと言っていい程使わない機能なのですが、実際使えないとなるとなんかいまいち気分。
どちらもかなり使えます。
テスターオタクも今回をもって完結です。この2台で当面はやっていくとします。