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LEDを鉄道模型用12V電源で使用するときの抵抗値の決め方(3/9少し追記)

今回の人柱はAMAZONで購入した30本入りのチップLEDという商品です。

チップLED30本入り699円

 

この商品は、使用する電源電圧を上の写真のように3つの区間に区切って、3種類の抵抗が添付されています。とても丁寧です。おそらくもともと低電圧用なのでしょうか。

12Vで使用するときに指定されていた「9V-14V」と書かれている抵抗と並べて見ます。

実際に測ってみると、複数のテスターで最も確からしい数字が「558Ω」と出ました。

チップLEDと9-14Vの電源で使用する時の抵抗558Ω
スマホのアプリで抵抗に記載サれている帯の順番に色を入力してあげると
抵抗値を割り出してくれる便利なものがいくつかあります。

この時の回路をLTspiceで考えてみます。

「Voltage(12V)」と「Register(558Ω)」を配置して、「LED」を一個配置します。電源の「ー」極とLEDの行き先を「GND」へ接続します。

LEDと558Ω抵抗1個、電源12Vの回路の作成

 

シミュレーション条件はとりあえず、

「Simulate」→「Configure Analysis」→「DC sweep」タブで、

・V1をLinear(直線的)に0Vから12Vまで、0.5V刻みに設定しておきます。

シミュレーション条件の設定

チップLEDと558Ω抵抗1個と12V電源の回路

おっと、LEDの条件が設定されてません。

このままでは計算できないので、LED「D1」の本体三角形付近を右クリックします。

LEDのシンボル(▽付近)を右クリック

上から3段目、「Pick New Diode」をクリックします。

LEDに限らず、ダイオードのリストが出てきます。試行錯誤の結果、一番近そうなのが「NSPW500BS」でしたので(一番最初に出てくる「type」が「LED」のもの)、これを選択して「OK」します。

ダイオードリストの中から「NSPW500BS」を選択

回路図はこんな感じになります。

チップLEDと558Ω抵抗と12V電源の回路

先日ご紹介の「.meas」文を使って、

・電源12Vのときの抵抗両端の電圧V(R1)とLED両端の電圧V(D1)

・その時のLEDを流れる電流I(D1)

を設定したいと思います。

「.meas」文を使って、Logファイルに記録

これで、一旦、Simulationを「PLAY」してみます。

この状態で「PLAY」すると、起動はしますが、ログ・ファイルの中の「VR」と「VD」の項目はエラーが出ます。

ログファイル中のエラー

電流値「id」は15.7mAと出ましたが、電圧は「V(R1)」「V(D1)」どちらもエラーです。

電圧値の指定の文法が間違っているためです。

シミュレーションを開始している状態で、回路図上の抵抗の両端を赤いテスター棒が出た状態で電源側から順に指定してあげると、グラフに抵抗両端の間の電圧の曲線が現れます。

抵抗両端を指定して電圧値を測定

12Vの時、概ね8.8V位ですが、それよりまず、グラフの上の赤字の表題を見て下さい。

抵抗両端の電圧は「V(N001,P001)」となっています。

同じことをLEDの両端で指定してあげると、グラフは(同じ値を2回指定すると前のグラフは消えます)、

LED両端を指定して電圧を測定

12Vの時、LED両端の電圧は概ね3.3Vと出ています。それよりまず、グラフ上の表題を見ると、

LED両端の電圧は「V(p001)」と表示されています。

これに従って、「.meas」文の電圧の文法の誤りを修正します。

上の「.meas」文の,

・「V(R1)」を「V(N001,P001)」に、

・「V(D1)」を「V(p001)」に修正します。

修正画面では、一番下のコマンド文を直接修正した方が早いです。

V(D1)をV(p001)に修正

で、直したものをもう一回「PLAY」してログファイルをみます。

ログファイルの中身

今度はちゃんとエラーなくでました。

抵抗両端の電位差は8.8V、

・LED両端の電位差は3.2V、

LEDを流れる電流は15.7mA

と出ました。2つの電位差を足すと、当然ですが電源電圧と同じ12Vとなります。

今回のチップLEDの12V使用時の推奨抵抗558Ωから察するに、推奨電圧は約3V、推奨電流値はおおよそ16~20mAといった感じです。電源が多少12Vを超えることを想定されているのかもしれません。いや、この抵抗値で14Vまで対応でした。

LEDの購入時に大抵は電圧と電流値が明記されているのが普通ですが、明記されていないものもあります。

3V基準のLEDであれば、12V電源で使用するとき、

・LEDを流れる電流が20mA付近、

・抵抗両端を流れる電流も同じなので、

・12V電源の場合には、抵抗両端で、12-3=9で、抵抗両端の電位差が9V、

・流れる電流が10~20mA程度となるように、

抵抗値を決めてあげるとよいことになります。

 

抵抗の両端が12-3=9V、抵抗を流れる電流が20mAとなるための抵抗値は、

V=IRから、R=V/Iで、

R=(12-3)(V)/(20*10^-3)(A)=450(Ω)

となって、だいたい、450Ωあればよいと計算できます。

・LEDの推奨電圧が3V以外の場合には、上の式の太字「3」のところを該当の電圧値に変えて計算すれば、20mA推奨のLEDの適切な抵抗値が計算できるというわけです。

・推奨電流が20mAでない場合には「20」のところを推奨値に置き換えます。

・電源出力値が12Vでない場合には上の「12」のところを該当の電圧値にします。

これで大体の抵抗値の目安が特定できます。

たくさんの種類の抵抗を複数本組み合わせたものが、AMAZONで格安で売っていますので、こういうのを準備しておくと、いろいろ輝度を変えたりできて楽しいかもしれません。

抵抗まとめ売り10-1MΩ30種✕20本659円

 

麦球のような電球の場合は、1.5Vの作動電圧でも消費電流が100mA近くあったりします。ので、モノによって変えてあげる必要はありますが、いずれの場合も、上の式の該当する箇所だけ変えればいいです。

 

今回のチップLEDでは、450Ωの抵抗値に対して558Ωなので、12Vジャストでは多少暗め側に設定されているようです。実際に測ってみたのがこちら。

青いテスターで回路を流れる電流、

赤いテスターで、抵抗両端の電位差を測りました。

このときの100%出力の電源電圧は12.27Vです。

RFコントローラで最大出力時の回路を流れる電流と抵抗両端の電位差
青いテスターで回路を流れる電流(15.85mA)、
赤いテスターで抵抗(558Ω)両端の電位差(8.72V)を測定

結果、

青いテスターで回路を流れる電流(15.85mA)、
赤いテスターで抵抗(558Ω)両端の電位差(8.72V)

シミュレーション結果とかなりよい一致です。

チップLEDはこのダイオードモデル(MSPW-500BS)を使うとよいかもしれません。

 

最初に戻って、

不明のLEDを使うときは、いきなり12V電源を使わず、まずは、3Vのボタン電池(CR2032など)直結で点くかどうかを確認してみて、点くようであれば、使う抵抗は450Ω付近を目安とし、

点かないようであれば、上記のように、それより低い抵抗値でよいと思われます。300Ω付近の抵抗を用いて、12V電源で、

・抵抗両端の電圧

を測ってあげれば抵抗を流れる電流値が計算でき、その時の点灯具合で抵抗値を変更すればいいと思います。

 

実際にボタン電池で測定

このチップLEDは3Vのボタン電池直結で点灯します。

ですが、1.5Vの乾電池では点灯しません。すなわち、LED両端の電位差が3V以上であれば点灯します。

直結でもつくのですが、電流を計算するためにあえて抵抗を繋ぎます。抵抗を558Ωからより低い値の56Ωに変えてボタン電池1個で測定してみました。

たいていのテスターの導通テストでピーとなるのは50Ω以下となっており、これより低い抵抗値を「導通」とみなしています。読み取り誤差を含めても56Ωあれば、どのテスターでも「抵抗がある」と認識してくれます。

3Vボタン電池1個でチップLEDを点灯(抵抗56Ω)
この回路では、抵抗を56Ωのものを用いています。
実測値は左から、抵抗端の電圧(0.137V)
真ん中、ボタン電池の電圧(2.97V)、
右、回路を流れる電流(2.47mA)です。

3V-2.47mAだと明るさはまあまあかな、という感じです。写真だとかなり明るめに写ります。またテスターが1個増えました。そのうちご紹介します。これ結構いいです。オレンジのやつ。

LTspiceで再現

3Vボタン電池1個でチップLEDを点灯(抵抗56Ω)

3Vボタン電池1個でチップLEDを点灯(抵抗56Ω)のログ
V(R1)は0.15V、
V(D1)は2.85V、
I(D1)は2.7mA
実測値とまあまあの一致率でしょうか。

ここで、抵抗を558Ωに戻して、次はボタン電池2個直列で測定してみます。

56Ωのままボタン電池2個直列(6V)にすると、計算上、回路を流れる電流は26mA程度となり、ちょっと怖いため、以後558Ωの抵抗を使って少しずつ電源電圧を増やしてみます(といっても後1回ですが)。

3Vボタン電池2個でチップLEDを点灯(抵抗558Ω)
この回路では、抵抗を558Ωのものを用いています。
実測値は左から、抵抗端の電圧(2.73V)
真ん中、ボタン電池の電圧(5.77V)、
右、回路を流れる電流(4.88mA)です。

電池が何故かヘタって2個直列で6V行ってませんが、

6V-4.88mA、558Ωでも結構明るいです。さっきよりかなり明るいです。

ここでもLTspiceで再現。

3Vボタン電池2個直列でチップLEDを点灯(抵抗558Ω)

3Vボタン電池2個直列でチップLEDを点灯(抵抗558Ω)のログ
V(R1)は3.0V

V(D1)は2.98V
I(D1)は5.4mA
まあ、そこそこの一致率ですかねえ。
抵抗値は違うものの、電流値はさっきの2倍です。

今度は同じ抵抗値558Ωのまま、9Vの乾電池で測定してみます。

9V電池でチップLEDを点灯(抵抗558Ω)
実測値:抵抗端5.88V,
電池電圧9.01V,
回路の電流10.55mAです。

9Vだとめっちゃ明るいです。

LTspiceで再現。

9V電池でチップLEDを点灯(抵抗558Ω)

ログを見てみます。

9V電池でチップLEDを点灯(抵抗558Ω)のログ
抵抗両端電圧5.87V

LED両端電圧3.13V、
回路電流10.5mA
実測値とほとんど同じです。

3Vのボタン電池を4個直列にすれば、完全な直流12Vを再現できますが、9Vでこれだけ一致しているので、もういいかなと。

 

結論

LEDの場合は、だいたい抵抗を流れる電流値が5~20mA(最大30mAもあり)の範囲になるように抵抗を選定するのがよいと思います。

まとめます。

詳細不明のLEDを鉄道模型12Vで使う前提では、

まず3Vのボタン電池1個を直結してみて、

・LEDが点灯すれば、450Ω付近の値の抵抗を用いて12V電源に切替え、12Vかけたときの抵抗両端の電圧を測り、抵抗値と抵抗両端の電圧値から電流を計算して、20mA付近が最大となるように抵抗値を決めてあげます。

・3Vボタン電池直結で点灯しないようであれば、恐らく6V付近以上の電源対応と思われ、比較的小さめの抵抗(300Ωなど)から始めて、12V電源に切り替え、点灯具合と電流値(抵抗の値と抵抗両端の電圧から計算)を眺めつつ、「暗いようであれば抵抗値を下げ」、「電流値が20mAを超えるようであれば抵抗値を増やし」などにより、適切な抵抗を決めればよいと思います。

抽象的な表現ですが、明るすぎるとLEDの寿命が短くなります。

今回は最大出力12Vでの検討ですが、実際に鉄道模型で最大出力で動かすことはほとんどなく、通常は6~9V付近でしょうか。ただ、最大出力で適切な電流値となるように抵抗値を決めておけば、LED破損のリスクがなく、寿命もより長くなりそうです。

かなりごちゃごちゃしてしまいましたが、おわかりいただけたでしょうか。

絵に書いてみると簡単に理解できると思います。

 

LTspiceをすでにお使いであれば、以下のような回路を作ってあげるとよりわかりやすいかと思います。

同じ規格の(チップ?)LEDを使って、異なる抵抗値のR-LED回路を並列に繋いでおいて、抵抗値をそれぞれ、手持ちの抵抗値に合わせて配置します。並列であればいくつ繋いでも構いません。各LEDに流れる電流値は変わりません。

抵抗値とLEDを流れる電流の検証回路
各抵抗値は手持ちに応じて任意に決めて下さい。

この回路は保存しておくと何回か使う機会があるかもしれません。

あくまで、LTspice上です。現実に作るといくつかのLEDは壊れるかもしれません。

上の回路のシミュレーションを実行すると、各LEDを流れる電流値のグラフはこんな感じになります。

上の回路で各LEDを流れる電流値
グラフは12Vのところを注目して下さい。

青いI(D1)が56Ω、12V流すと140mAも流れてしまいます。LTspiceだからできる検証です。

黒いI(D2)は200Ω、40mAを少し超えています。

赤いI(D3)は300Ω、ここでようやく殆どのLEDの規格範囲になんとか入りそうな、30mA弱となります。が、最大出力で20mA以下に押さえるのが長生きすると思います。

緑のI(D4)が400Ω、ここでやっと20mA程度です。

したがって、鉄道模型でチップLED1個を設置する際には最低でも300Ω以上(400Ω以上が望ましい)の抵抗を用いた方がよさそうです。ということが、LTspiceを使うと擬似的に実験できます。

これはもちろん、チップLED1個の場合です。

 

さて、参考までにテープLEDの場合はというと、

室内灯に使うテープLED固定されている抵抗には151Ωが最も多く、その他に101Ωや221Ωのものもあります。68Ωのものもありました。上の例に比べるとずいぶん小さい気がしますが、テープLEDでは1区画に3個のLEDが直列でつながっており、3個直列にすると、LEDを流れる電流値も変わります。LEDにも抵抗があるためです。

上の回路で抵抗値を少し変えて、LEDを3個直列にしてシミュレーションしたものが下図です。

テープLEDの検証回路
R1=68Ω、R2=101Ω、R3=151Ω、R4=221Ω、R5=450Ω、R6=558Ω
としていますが、この値は任意に決めて下さい。
このグラフでは上から4つ目まで(R1~R4)が実際にある抵抗値です。
グラフは12Vのところを注目して下さい。

テープLEDで一番多い151Ωは赤い線で示されていますが、最大出力12Vの時にだいたい15mA程度です(少し前の記事での実測では19mA程度でした)。この最大出力だと目に刺さるほど明るいです。

もちろん、チップLEDとテープLEDでは規格が多少異なる感じがしますが、先のチップLEDで9V電池を用いて558Ωの抵抗を噛ませて測った時の10.55mA程度でも、上の方にある写真で見られるとおり、目に刺さる感じでした。LEDでは10mAを超えるとかなり目に刺さるのかもしれません。最終的には実際に走らせる電圧値に合わせて目視で決めるのが一番いいと思います。安全な範囲の抵抗値を用いての話です。

テープLEDは抵抗が固定されているので変更はできませんが、個別にLEDをつける場合には、この辺に落ち着けるように抵抗値を決めてあげるのが無難なところでしょうか。

実際に回路を組まなくてもシミュレーションできるLTspice、ほんとに強い味方です。いろいろといじくってると、また新たな発見があるかもしれません。これオススメです。毎日、今日は何しようかな~~とワクワク感が半端ないです。結局何もしてないんですが。

 

課題

鉄道模型に適したPWM電源12V と乾電池やボタン電池のような純粋な直流電源とは、9-12V付近はいいのですが、低い電圧値での実測電流値が結構違います。

同じチップLEDと558Ω抵抗で、PWM経由の電源を1%刻みで変化させて測定した電流値と、今回のボタン電池および9V乾電池での電流値を同じ土俵にプロットしてみます。

PWM電源と電池の出力電圧ー電流曲線の違い(558Ω)
電池の出力の方がLTspiceの曲線に沿っている感じです。

青い点と線はチップLED+558Ωの抵抗で、今までのとおり(電源はAC/DCアダプターが出力12V最大出力電流1.5Aで、これにPWMコントローラーを繋いで出力Maxにして、その出力を)Bluetooth RFコントローラーで1%刻みで出力を上げていったときの回路を流れる電流値と線路両端の間の電位差(電源出力)を測定したものです。

オレンジと灰色の点はそれぞれ、ボタン電池1個および2個と9V乾電池を電源としたときの回路の電流値です。同じ電圧値でも、低い電圧の時ほどPWMとの違いが大きいです。

乾電池とボタン電池のような純粋な直流電源では、電圧ー電流の関係は、確かに、LTspiceでの曲線とよく似た形状を示していますが、鉄道模型用PWM電源ではほとんど直線に近い、というか、抵抗そのもののような最初から直線的な形状を示しています。

また、LEDの点灯に関しては、このチップLEDでも、テープLED同様、

PWM経由の出力では2%から点灯が始まっていましたが、このときの出力電圧(線路両端)は0.169Vです。違うテスターではもっと高い値の出るものもありました。

乾電池では3Vでは点灯していますが、1.5Vでは点灯しませんでした。グラフから電流値を推定して見ればなんとなく納得です。

PWM調光器のボリュームですが、実は電圧を出力している時間を調整するもので、そもそも出力電圧を変える性質の部品ではありませんでした。ただ、実際にテスターで測ってみると電圧値が変わっています。この理由はわかりませんね。テスターの受け取り方かもしれません。テスターによって、まさにLEDの調光具合と同じような反応を示していると思われます。

全自動レンジ切り替えのテスターで0-6Vの低い電圧でおかしな値が出るのも、この違いを正確に拾っているような感じがします。また、全自動でないモードおよびテスターによっては(True RMSと記載されているもの?)、0-6V間の電圧値の検出の仕方に違いがあるらしいこともわかりました。

一方で、Bluetooth RFコントローラーの%表示はPWM出力の最大値を100%としたときの電圧値に正確に一致しており、最初からPWM出力を前提として校正されているものと推察されます。ボタン電池4個直列にRFコントローラに繋いで、出力がどのようにかわるのかもためしてみる必要があります。そのうち。